農業で自然を豊かに~拡張生態系をつくる協生農法!!~
【農業で自然を豊かに~】★拡張生態系をつくる協生農法!!
皆さん、協生農法をご存知ですか?
昨日は高尾で2回目の協生農法を学んできました!
今から遡ること2か月半前、GWの初日に、「森と踊る:恩方暮らしラボ」のタケさん主催の講座、「協生農法®︎ってどうやるの?〜ソニーCSLが研究する自然の力を引き出す野菜づくり〜」に参加しました。
そこでみんなで協生農法の畑を作り…、2か月半経った今日、再びソニーのCSL研究員の太田さんが高尾まで来てくださり、その後の雑草とどんなふうに向き合ったらいいか、いろいろと教えていただきました。
協生農法は、食料を生産しながら、虫や鳥を呼び込み、拡張生態系を作って、自然をより豊かにしていこうという農法。植物本来の力を使って、やればやるほど土壌も生態系も豊かにしていく、今までの農法とは真逆?のアプローチです。
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以下、SONYのサイト https://onl.bz/uj1TGa7 より一部引用します
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食料を生産すればするほど、いろんな生き物、植物、動物、微生物が増えて豊かな生態系が生まれる。それが協生農法です。さらに、我々がいろいろな社会的活動や産業活動などを行っていくことが、自然環境や生物を豊かにしていく。そんな、文化的多様性と生態系の多様性が、相互に循環するサイクルを目指しています。
食べることができたり、資材として使えたりする有用植物は地球上に3万種類以上知られていますが、現在の農業は特定の作物を作ることに偏っています。そのため、地球規模で自然環境を壊したり、生物多様性を損なうという影響が生じています。こうした問題を解決するため、ソニーコンピュータサイエンス研究所では2010年から協生農法プロジェクトをスタートさせており、既に国内外の実証実験から様々な成果が生まれています。
(引用ここまで)
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ポイントは、不耕起(初回は畝を作るために土を盛ることはする)、無肥料、無農薬。種と苗以外のものを畑に持ち込まず、植物に自ら育とうとする野生の力を発揮してもらうこと。そして、核となる果樹をまずは中心に植え(虫や鳥を呼んでリンを供給してもらうことが第一義)、そのまわりにとにかく可能な限り多様な種を蒔いたり、苗を植えていくこと。多様とは、10種類や20種類というレベルではなく、、100種類や200種類というレベル!! 協生農法が目指すのは、人の手によって、本来の生態系よりもより多様で豊かな生態系である「拡張生態系」を作ること。もちろん人間がやることですから、できるだけ人間の役に立つ有用植物(食べ物、薬、ハーブ等)を多く投入します。そして、人も含め、動物や植物や虫や微生物、生きとし生けるもの、みんなで協力しあって、やればやるほど土壌と生態系を豊かにしていきます。
このときの蒔き方、植え方はとにかく混生密生。日本ではたいがい土地をほおっておくと、草が密にぶわっと生えます(それだけ日本の気候は恵まれています)。自然界では、植物どうしが密生していることがデフォルトであり、隣の植物からエネルギーをもらいあうことで互いに成長しあうのが摂理だとか。田んぼや畑よりも、その脇のあぜ道に生えた草の方が成長が早いのは、混生密生だから。だったら、草のその旺盛な勢いと同様の環境を、野菜どうしで作ってしまおうというのが協生農法。そして、自然界と同じように、土を見せないように、地表をびっしりと植物で覆う。土が見える隙間にはコケ類も含めて覆っていく。そうして、100種類以上の超多様な種を一気に混生密生させ、人も植物も虫も鳥も微生物も、みんなで協力して超多様な果樹野菜天国を作っていくのです。
なんて素敵なワンダーランド!
この協生農法は、ソニーが今もっとも押している環境再生型農業の最先端。私は2020年、ソニーCSL研究所の船橋さんの論文で協生農法を知り、魅了され、協生農法生みの親である伊勢の大塚隆さん(ムーさん)のところにも2回も講習を受けにいってしまいました。
そして、今までベランダでなんちゃって協生農法をやってきましたが、今回やっと実践編を学ぶことができて、やっぱり簡単!楽しい!本格的にやってみたいという気持ちがむくむくと湧いています。
ちなみに、この農法の一番の課題だと思われることは…
とっちらかること。
葉っぱで植物の見分けがつけられないと、何が生えてきて、どれが雑草で‥がまったくわからない。そう、協生農法では、わっさわさのいわゆる雑草のように(雑草という草はありませんが)、野菜やら薬草やらがそこらじゅうに生えてきます。100種類、200種類の葉っぱの形を覚えていなければ、なにがなんだかわかりませんし、手入れをしないとそのまま野菜の藪になるでしょう。それに協生農法は、一般的に雑草と言われるものも多様性の源となったりするので、安易に刈れない。
だからこそ、ソニーの出番で、AIの力で、生えている場所や、収穫時期を管理してくれるものを開発してくれているのだと理解しています。(ただ、そこまで到達するのにまだ相当の年月がかかるだろうとのこと)
農耕開始から一万年が経過し、今、私たちは一周回って、農のやり方を再発明する感じで向き合うときがきています。これまでは、食べたいものを、管理しやすい方法で単一栽培しながら大量生産を実現し、人類は、一万年間かけてここまで繁栄してきました。そうして生まれた余暇で、好奇心や効率を追求し続け、ついにAIまで誕生させた。そして今、ここまできた人類が、ついに自らのやり方の限界に気づき、AIを駆使し、拡張生態系を作って生きとし生けるものとの共栄を目指す。
ワクワクが止まらない、協生農法。
そんな楽しい協生農法ですが、昨日は、雑草だらけになってしまった協生農法の畝で草刈りをしながら、もっとどうしていればよかったのか、太田さんからあれこれ教えていただきました。
結論から言うと、雑草が旺盛な時期に協生農法をはじめる場合は(今回は雑草がすでに大量に芽生えていた4月末にはじめてしまった)、種から始めるのではなく、雑草に負けない状態まで成長した「苗」をもっと多用した方がよかったということ。もしまだ雑草も少ない3月から始めるのであれば、種を中心に蒔いても、種が発芽し成長する期間、雑草に邪魔されずリードできる。ただ、そこを逃し雑草が元気になる気温に達してからとなると、苗を多用した方がより収穫できる、ということでした。もちろん、何年か協生農法を続け、様々な野菜が雑草のように生い茂る場所となっていれば、この限りではありませんが、特に一年目は苗を中心に植える大切さを教えていただきました。あー、こういう実践知がなんともありがたい。将来の妄想がまた膨らみました。
今回も機会を下さったタケさん、そして炎天下にご指導下さったソニーの太田さんに感謝します!
引き続き協生農法、ウォッチしていきます!
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ご興味ある方、マニュアルはこちらです
<入門編>シネコポータル:拡張生態系入門キットhttps://www.sonycsl.co.jp/…/synecokit_ver04j20220525.pdf
<実践編>協生農法実践マニュアルhttps://synecoculture.sonycsl.co.jp/…/2016%e5%b9%b4%e5…