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炭化松杭でつなぐ、家と庭と大地の菌糸ネットワーク

先週、千葉県匝瑳(そうさ)市の「みんエネ」さんが運営される、ソーラーシェアリングを見学してきました。今回は、ソーラーシェアリング以外で感動した、焼いて炭化させた松杭を庭に刺すことで、土地全体に菌糸ネットワークを巡らせ、庭の再生をしているお話しをご紹介します。
実は、ソーラーシェアリングも見たかったけれど、この松杭のお話も東さんからエシカルコンシェルジュの講演でうかがっていて、見たかったものの一つ。

というわけで、まずは、みんエネさん事務所のお庭。

代表の東さんがお忙しいにも関わらず庭に出てきて下さり、新しいソーラーパネルの説明はもちろんのこと、その木製テストプラントの基礎に、焼いて炭化させた松杭使っていることを教えて下さいました。そして、同じ炭化松杭は、先日作ったという、お庭の小道の枕木の下にも、さらに、昨年作ったという、庭の奥の小屋の基礎にも使われているとのこと。これにより松杭から松杭へと広がる菌糸ネットワークが庭全体に形成されるようにしているのだそう。そして、そうした手入れの結果、今まで、雨が降ると水たまりができ、ぐずぐずにぬかるんでいた硬い土の庭が少しずつほぐされ、水はけもよくなってきたという土中環境のすごいお話をしてくださいました。感動!

(これ、以前高尾のずーやんの森で、森の道づくりの際に行った方法のようです!)

その後さらに、みんエネさんのお仲間でもあるという、SOSA Project( https://sosaproject.net/ )のフィールドにもご案内いただくと、またまたみんなでDIYしたというタイニーハウスの下が、焼いた松杭の基礎になっている。わー、ここも菌糸ネットワークが広がっているんだと、土の中に想いを馳せる。

ただ、なにやらすごいと感動するものの、その仕組みがまだいまいちわかっていない。

とそこへ、このSOSA Projectフィールドをずっと作ってこられたという髙坂勝さんが車で一人やってこられた。なんというタイミング。はじめましてとご挨拶。

そして松杭のことをうかがうと、詳しく教えて下さいました。

つまるところ、炭化した場所は炭と同じで多孔質になり、そのたくさんの小さな穴は、微生物の住処となる。つまり、炭化した松杭を土に刺すことで、微生物が集まり、そこに菌糸が絡んでゆく。そして、複数の松杭が土地にあることにより、土の中で菌糸のネットワークが広がっていく。植物の根と菌糸は共生関係にあり、植物は菌糸から自分では吸収できない栄養をもらう。つまり、菌糸が豊富に張り巡らされることによって周囲の木々の根が呼び寄せられるようにどんどんと成長し、木は健全に育っていく。そしてついには、炭化松杭自体にも、木々の根が絡まっていき、松杭を基礎とする建物自体がより強固にその土地に支えられるようになる仕組みだとのこと。

建物があることで、その土地がより豊かになっていく。建物が、その杭基礎を通じて、周囲の木々の根と絡まり、自然と一体となっていく…。鳥肌が立つようなお話。まさに文字通り「大地にしっかりと根付く家」…なんて素敵なのでしょう。

『土中環境』という私の積読書の一つを執筆された高田宏臣さんの世界なのだとか。(読みましょう!)

すごい、すごい…、今も感動が続いています。

そして髙坂勝さん、どこかでお名前を聞いたような…と思っていたら、<脱「経済成長」><環境><幸せ>の融合をローカルから実践され、様々なご著書もある、まさに実践活動家の方でした。ちょうど出会った日の翌日に、新しいホームページを公開されたと教えていただきましたので、詳しくはこちらをご覧ください。 https://masaru-kohsaka.com/

尚、みんエネの東さんからは、私の杭へのクイつきがすごかったからか、焼いた松杭のサンプルまでいただいてしまいました(笑)。今は、我がマンションのベランダに鎮座し、都会のビルを眺めています✨

その土地で途方もない生命と共にうごめく大地。そんな大地と、コンクリートで分断される家ではなく、菌糸を介して絡み合い、共生する家。家だけでなく、杭だけでなく、人としての在り方として大切な哲学を教えていただいた気がしました。そして今回訪ねたところは、どこもかしこもが、いい気で溢れていました。土地も、建物も、そしてそれを活き活きと説明して下さる人という生き物も、自然と一体になっているからなのだと、合点がいきました。

みんエネの皆様、東さん、髙坂さん、本当にありがとうございました。
お土産の松杭を、一日も早く、大地の上に置いてあげたいと思っています。

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