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パッシブハウス -ちいさいおうちで考察-

https://suumo.jp/edit/beginner/guide/sumai.html
(引用 SUUMOジャーナルより)

記事の森みわさんが代表をつとめる、パッシブハウスジャパンの、省エネ建築診断士の資格を、今年取得しました。我が家もリノベーションで、この記事にあるような「太陽と風に素直に設計する」家を目指しています。

ただし、森さんの軽井沢のお宅は、冬には氷点下になる極寒地域。かつ大きなお宅。一方の我が家は、房総という、本州の中では一番あったかい部類に入る地域に建つ、タイニーハウス。

記事で森さんは、お湯づくりに太陽熱を、そして補助熱源にペレットストーブを使われています。太陽熱もペレットも憧れます。だけど、温暖地域にあって、かつ、小さな我が家にとって、それらは不必要かなーというが今のところの結論。以下で少し考察してみました。

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かねてより、お湯には、熱を直接利用してより効率よくお湯を作ることができる太陽熱温水器を使いたいと思ってきました。実際、太陽熱で直接お湯を作る場合の一次エネルギー変換効率は約60%、一方、太陽光を一旦電気に変えてから電気でお湯を作る場合の一次エネルギー変換効率は約20%と、あきらかに太陽熱利用の方が高効率です。ですが、いざ、具体的に太陽熱の導入を考えると、EV充電や照明や冷蔵庫やキッチン等、家である程度の電気を使う以上、小さな家で、太陽熱温水器と太陽光発電のダブルシステムを構築する必要性が立ちはだかります。それに冬場は、太陽熱ではお湯の温度が足りない場合が多いそうで、その場合には追加でお湯を作る補助熱源も必要となり、その仕組みも合わせて考えると、小さな家にしてはますますシステムが複雑となってしまいます。たとえランニングコストが安くなっても、イニシャルコストはかなりの大きさに。また、それだけ機器が増えれば、設置場所もとり、メンテナンスも大変になります。

それにランニングコストのことを考えて本当にお得なのかというと、、それをカバーするだけの魅力が実はエコキュートにはあります。電気からお湯をつくるエコキュートで活用される「ヒートポンプ技術(日本発祥の技術)」が、すごいのです。空気中の熱を利用し、入力エネルギーの3倍から4倍の効率でお湯を作れます。3倍の効率で計算したとすると、太陽光発電で20%までダウンしたエネルギー交換率を、60%にまであげてくれます。4倍で計算すれば、80%にまであげてくれます。つまり、エコキュートを使えば、太陽熱温水器と同等か、それ以上の効率でお湯を作ることが可能となるのです。

尚、機材を製造する際に出る一次エネルギーを回収する年数(ペイバックタイム)について、エコキュートはまだ調べ切れていませんが、少なくとも太陽光パネルは、およそ1年~3年であると言われています。よって、その程度なら排出した製造エネルギー分をヒートポンプの効率でカバーできてしまいます。

さて、ここまではお湯づくりの話をしてきましたが、森さんは、冬の暖房のことも考えて、お湯も沸かせて、かつ暖房にもなるぺレットストーブを採用されています(壁暖房という壁の蓄熱性を活かしたゆるやかな暖房方法がまた素敵!) 尚、薪ストーブは、一次エネルギー燃費がエアコンの約3倍と、環境負荷がとても低い暖房です。それに炎が見える暖房はかっこいいし癒しにもなります。というわけで、館山の家でも使える薪ストーブやペレットストーブはないかと調べましたが、今市場に出ているどんな小さな薪ストーブも、またペレットストーブも、残念ながら小さな我が家にはオーバースペックのものしかありませんでした。最小サイズのストーブでも、家の中があったまりすぎて、結局は窓を開ける必要が出てくるという本末転倒になるのです。それに、燃やさなければもったない薪が庭にあればまだいいですが、そうでなければ薪調達コストも大変。

そんなこんなで、冷房も暖房も、6畳用エアコン一台でするというのが、我が家の形になりそうです。それでも、パッシブハウスレベルの性能で家を作れば、きっとオーバースペックになるでしょう。冬はエアコン暖房をほぼしなくても、南と西からの日射取得で、あっという間にポカポカハウスりそうですし(今はない南面の開口部を、リノベーションで大きくとろうと思っています)、夏だって、湿度さえ低ければ、もしかしたら冷房なしの夏を快適に過ごせるかもしれません。というのも、ここ館山は、夏でも夜になると涼やかな風がそよぎます。今の時期でさえ、窓あけて寝るとタオルケット以外にもう一枚布団が必要です。もし家にパッシブハウスレベルの性能があれば、夜風で一度冷えた家の室温を、日中、日射が入らないようにコントロールするだけで、保てるかもしれません。つまり、エアコンをほぼつけなくても、もしくは短時間の利用で快適にすごせるかもしれないのです。

これらのことから、我が家は太陽熱や薪、ペレットストーブを潔くあきらめ、太陽光発電を中心に据えながら、可能なら風力を実験してみたい、というのが今のところの結論です。風力に関しては実験的ですが、この土地に吹く海風、陸風、冬の大風を利用しないのはもったいない。うまくいけば太陽の出ていない夜も小さく発電が可能です。そして、あまった電気は電気自動車リーフに蓄電して、曇りの日や夜に使います。

もしこれに加えて災害時まで考えるとすれば、庭に、娯楽用と兼ねた簡易なロケットストーブ(お湯が作れる)と、ソーラークッカー(料理ができる)、そして助け合えるコミュニティがあれば、いざというときもなんとかなるかな!?というのが目論見です。

さて、だいぶ細かく書いてきましたが、そんな形でエネルギー系のリノベーションプランはようやく先が見えてきました。でも、建材や断熱材、壁などがまだ決めきれていません。決めるには、この記事にもあるPHPPソフトというもので、この家の設計に応じた暖房負荷や冷房負荷の計算が必要です。それが見えると、どのくらいの断熱が必要だから、この素材でいけるとか、あの素材じゃなきゃダメだとか、いろんなことが見えてきます。というわけで今、そのソフトを、我が家の建築士、小川さんが絶賛勉強下さっています。

そんなこんなのリノベーション。

いろんなスケジュール考えて、着手はやはり来年にしていただくことになりました。結果、もう一冬、この隙間だらけの家で、越冬です。そしてその前に、まだ冷房のないこの家で、この夏を越えなければなりません。今のところ、去年の夏よりは快適に過ごしています。日射遮蔽の大事さがわかり、午後は西側の雨戸をしめるようになりました(去年活用していたヨシズは日射遮蔽率30%。雨戸だと80%くらい)。パッシブハウスはこれからですが、それまでは、パッシブライフでしのぎます。

海風のおかげで、去年も今年も、今のところまだ猛暑日がない館山。地球ってやっぱり、すごいシステム。それを最大限活かすのが、地球の恵みを享受する家、パッシブ(受け身)ハウスなのだと、私は森さんから教えていただきました。
人類はまだまだ発展途上。地球一個分の資源で、もっと心豊かに快適に暮らし、他のいのちも育める、そんな伸びしろがいっぱいなのだと思っています。

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