第3回 教えて!坂田さん「生物多様性と庭づくり」
【第3回 教えて!坂田さん「生物多様性と庭づくり」】
~水路のしがら、成功!? イモリカップルこんにちは!~
先日は生物多様性のスペシャリスト、坂田昌子さんを庭にお招きしての3回目のワークショップを開催しました。
昨年6月に開催した第1回は、庭の見立てと、しがら作り。
昨年10月末に開催した第2回は、ビオトープ作りで、まずは池を掘るところまで。
そして今回第3回は、ビオトープに流れ込む水路の部分を整えるしがら作りワークショップでした。
しがらとは、大地に打ち込んだ二本の杭の間に、枝や竹を渡してつくる、柵(「さく」「しがら」とも読む)。水の流れを緩めたり、せき止めたり、土留めに使う、日本で古くから行われてきた土木工法の一つです。
そんな中でも坂田さんが教えて下さるしがらは、生物多様性を育むことを目的として、ゆっくりと、かつ多様で複雑な水の動きを促すためのしがらです。ゆっくり、さらさら、ちょろちょろ…。異なる水の動きがあれば、それぞれの動きを好む菌や微生物、虫、そして草花がそこに生息し、種類も多様化していきます。
第一回目のワークショップで作ったしがらは、斜面の下の部分に作られました。斜面はイネ科の細長い草ばかりで覆われ、多様性にかけていたため、しがらを作っていろんな草に生えてきてもらおうという作戦です。
そして今回は、池に注ぎ込む水路の溝部分を埋めるしがらづくりとなりました。
ちなみにこの水路、家人が第2回目のワークショップのあと、勝手に深く掘ってしまったために、今回はみなさんが深い溝と格闘するハメに
彼は、水が水路をきちんと流れるように池に向かって勾配をつけようと掘り進めたようですが、そもそもこの水路は、水を流すためというよりも、池に泥が流れ込まないよう、雨を浸透させる場所にしようというのが坂田さんの構想。深く勾配をつけて掘ったことで、今や雨は水路を通って勢いよく池に流れ込み、水路壁面の土はどんどん削られ、泥としてビオトープに流れ込み、池を濁し、今後詰まらせてしまう危険性も。
一方、水が池に到達する前にうまく地面に染み込めば、庭の保水力が高まり、池からも透明な水が湧き続けます。もともとここは水はけの悪い場所で、前の住人はここに暗渠排水として、素焼きの植木鉢を連ねて埋めていました。それを掘り返した場所でもあったので、水はけが改善されれば、暗渠排水も必要なければ、草も多様になるはずです。
坂田さんは、深い溝を掘った家人に「自然がわかってないのに、なんかガーってやりたくなる人がよくいるのよねー」と、坂田節炸裂の愛のムチ(笑)いつもコーヒーマスターになっている彼に、今度こそは坂田さんの話をきちんと聞くようにと、できるだけきちんと作業に加わってもらいましたw
というわけで今回は、溝に沿って、杭を80㎝間隔で打ち込んだあと、しがら作りの前に、より、水の浸透を意識した「小端立て」という工法をまずは教えていただきました。
小端立てとは、建築用語で、レンガやグリ石、瓦など面積の小さい面を上にして並べる据え方。今回は、出土した植木鉢と、ご近所からいただいた廃瓦を活用。坂田さんの場合は、水の浸透と動きを促すことが目的なので、植木鉢や瓦を砕いて、尖った方を土に刺していくようにと教えていただく。土から鉢や瓦の破片がちょっと出ている方が、水が伝いやすくていいという。廃材がこんなふうに使われていく様は、とてもうれしい。
その後、その上にしがらを組んでいく。
坂田さんのしがらは、枝絡とも書くのでしょうか。
溝の中で、枝と枝を絡ませ、互いにテンションをかけあうようにして編み込んでいきます。そうすることで、ベッドのスプリングのような、弾力ある構造体に。そして、枝と枝の隙間に、落ち葉をギュウギュウに詰め込んでいきます。落ち葉を入れ込んだら、また上から枝を絡ませ、枝と落ち葉でミルフィーユ状のしがらを作り上げていきます。落ち葉は、片手でくちゃっと握りつぶし、その塊を枝の隙間に縦に入れ込むようにします。これは、上から落ちてきた水が、くしゃくしゃに潰された落ち葉の表面を伝って、右に左に、いくつもの水筋で流れていくための仕組み。たった80㎝ほどの幅の杭と杭の間に詰め込む落ち葉の量は、70ℓの袋にパンパンに詰められた落ち葉、まるまる一袋。
こうして小端立てとしがらで埋められた水路は、大雨が降っても、水がザーッと流れることはありません。水はしがらで速度をゆるめられ、多様な方向に分散。水路の底に小端建てられた鉢や瓦の隙間からゆっくりと大地に浸透していきます。また、土にすぐには浸透しない水も、水路の中の枝や落ち葉の間を縫うように流れて、溝の壁面の土を削らず、土を運ばずに池に流れ込みます。結果、池は大雨でも過度に濁らず、そうして庭に染み込んだ雨は、やがて透明な湧き水となって池から湧き出し、多様ないのちを育むのです。
みんなでおしゃべりしながら、そして次第に黙々と集中しながら作り上げたしがらは、どれも見事。第一回目と違って時間に余裕もあり、坂田さんが丁寧に指導してくださったお陰で、どの区画も上を歩けばスプリングを感じてふかふか。
みんなで難しいねーって言いあったけれど、翌日坂田さんからは「しがらをマスターすると、いろんな場所に使えるからがんばってー」のメッセージが。
そしてそして今回は、ワークショップの翌々日に楽しみにしていた大雨が降った!ザーザー降った! こんな雨のあとは、今までだと池の透明度はゼロ。茶色いお味噌汁状態になっていました。
ところが昨日朝一で池を見に行くと、今回は、多少の濁りはあれど、底が見えるほどに透明ではありませんか!そして、なんと、底にいた2匹のイモリまでがご挨拶!! さらに、はじめてカメラにおさまってくれた!!
うひょーお祝いしてくれたんだ!これって、しがらづくりが、うまくいったってことですよね!みんなのしがらが、うまく機能しているということですよね!!!
みんなで学ぶって、楽しすぎる。
そしてみんなの力で、生物多様性の庭に、また一歩近づいた!
みんなのおかげで、益々、みんなのお庭になりました!
ここでは書ききれなかった爆笑エピソードもいろいろありましたが、まずは遅ればせながら、ワークショップ実施と、しがら成功のご報告。
まだまだわからないこと、理解しきれていないこと、山積みですが、今回からワークショップ参加者のFacebookグループを作りました。
第一回目、二回目の参加者もこれからご招待します。そこで皆さんの疑問、質問、集めて、第4回に坂田さんにまとめて聞けたらと思います!
引き続き「生物多様性と庭づくり」、楽しんでまいります~!
坂田さん、間違ったこと書いていたら、ビシッと教えてください~!!