館山移住の裏テーマと『もしもフェス渋谷2022』
館山移住の裏テーマと『もしもフェス渋谷2022』
~一人でも多くの人が助ける側にまわれるように~
昨日は、お世話になっているこくみん共済coop様が主催される「もしもフェス渋谷2022」をのぞきに、代々木公園に行ってきました。
「もしも渋谷で大震災が起こったら…」がテーマのフェスで、多くの企業、商店、NPOが出店していました。
(高速バスでのはじめての日帰り。館山駅からバスタ新宿までぴったり2時間。行きのバスの中からはZoomでリジェネレーションの読書会に参加。なかなか快適です^^)
さて、田舎で暮らしたかった理由は数あれど、母が亡くなってわずか3か月ほどで移住先を探しはじめた一番の理由…
それは実は「防災」でした。
両親が住んでいたのは、私が生まれた直後に両親が買ったマンションで、すでに築52年。旧耐震基準で建てられ、その後耐震診断も耐震工事もされていない物件です。今から6年前、両親のことが心配で両親と同じマンションの同じ階に引っ越したものの、首都直下地震がきたらここはどうなるのだろうと、トイレの壁に入ったヒビを見ながら毎日のように考えていました。父はなんとしてもここに住みたい、壁が倒れてきたらハアッ!と手で支えるんだと冗談を言っていますが、かろうじてマンションが原型をとどめたとしても、そのような大規模災害時はライフラインも寸断され、食料備蓄もたかが知れています。妹は自転車で5分の住宅密集地に住んでいますが、車も通れない路地に面しており、火災が発生したら延焼が発生しうる危険な地域として指定されています。
家族でいつも避難シミュレーションはしていましたが、地震だけでなく、火山の噴火もありえます。東京から近い田舎に一つ拠点があることは、もしものときのバックアップにもなるはず――。
移住を許してくれた父や妹がいてこそ実現した館山暮らしではありますが、実はそんな防災意識が、父のことを気にしつつも移住を早々に決断させた背景にはありました。
もちろん、館山も2019年の台風で被災し、今後も台風の大型化に伴い同じ被害にある可能性は十分にあります。また、私の住まいは海の近くです。
父に移住のことを切り出したときにはハザードマップを拡大して見せ、この平屋は、1000年に一度の規模の津波想定被害区域の圏外であること、そしてこの地区は、地形的に津波の遡上が少ないことを説明しました。加えて、それでも地震が大きいと思ったら、高台に向かってすぐに車を出せるよう、いつも海を背にして車を停めていることを伝えました。父は、そこまで私が言ってようやく安心したようでした。
館山の我が家は、近い将来、防災ハウスにもなる側面を持っています。なんといっても、電気以外のライフラインがないため、自力でライフラインを整備すれば、自立した災害に強い家になります。環境課題を考え、オフグリッド(ハーフオフグリッド含む)への挑戦がまさにできる物件として購入しましたが、非常時には避難場所として家族を受け入れられるかもしれません。
冬は特に風が強い場所なので、現在検討中の太陽光パネルは屋根に乗せるタイプではなく、風にも強いソーラーシェリング型のもの(ソーラーパネルが細いため風の抵抗を受けにくく、パネルの下で畑もできる)にしようと考えています。トイレも汲み取り式は災害に強いとはいえ、リノベーション後は自然の力を活用し、汲み取り不要のコンポストトイレの導入もできたらと思っています。水は井戸なので、水道が止まっても大丈夫です(電気ポンプが万が一稼働しなくても、井戸の蓋を動かすことは可能です)。井戸が枯れるリスクに対しては、今後、森を守る活動に参加したり、コミュニティとつながることで助けていただく必要もでるでしょう。また、築30年を超えるエアコンもない木造住宅でサバイブできる数々の道具は、キャンプ道具であり、すなわち防災道具とイコールです。
昨日、「もしもフェス渋谷」で並んでいるブースを見ながら、今の我が家で活躍しているものがいっぱいあるとあらためて気づきました。そして、館山でこれからあげていく生活力は、災害時にも役立つものだと再認識しました。
そしてもう一つ、昨日のフェスでハッとさせられたこと。
それは、渋谷区という自治体の他、渋谷区の多くの企業、NPO、商店がフェスに参加していたことでした。館山ではすでに東京以上の数のご近所さんと、東京以上に親しくお話しさせていただいていますが、東京で同じようなつながりを作るのって結構難しい。だけどそうか、東京でもこういったフェスを通じて、横のつながりができるんだ、コミュニティができるんだ、と気づくと同時に、そんな場を、こくみん共済 coop という助け合いの生活協同組合が中心になって実現していることに深い意義を感じました。こくみん共済 coop は、そもそもが、いざというときにお互いに助け合う共助組織です。住まいの共済事業を通じて全国の被災地で被災者と向き合い、コミュニティづくりの大切さを知るからこその企画です。
フェス会場で行われた「こくみん共済 coop トークセッション」で登壇された高橋代表理事は、「災害が発生すると、助けたり、助けられたりをお互いにすることになる。そうなったとき、一人でも多くの人が『助ける側』に回れるように、日ごろから防災意識を高めていくことが大切」とおっしゃいました。
リアルな災害のときには、同じ人が、助ける側と助けられる側の両方の立場になると思います。
助けが必要なときには「助けて」と素直に言える気持ちを大切に、、家族の中でも、コミュニティの中でも、少しでも多く助ける側になれるように、これからも環境整備を進め、田舎ならではの生活力を高めていきたいと思いました。
そして、都会暮らしで田舎がない友人知人にも、「いざとなったら館山にきてね」、と、言えるくらいになれたらな。田舎がなく、半世紀に渡って「非常時はどうしよう」と不安を抱えてきた都会人の気持ちがわかるからこそ、そんな存在になれたらと帰りのバスに揺られながら思いを馳せました。