高尾山で生物多様性合宿に行ってきました!
高尾山で生物多様性合宿に行ってきました!
~これから半年、生物多様性を学びます~
館山の家のテーマは、生命の再生、リジェネレーション。理想は、取り組めば取り組むほど、生態系を回復し、生物多様性を増やし(人間も生物)、自分も社会も世界も再生していく、そんな場にしたい。
ただ、思いはあれど、基礎知識がない。。というわけで今月より、生物多様性の専門家でネイチャーガイドの坂田マサコさんから、半年かけて生物多様性を学ぶ「坂田の杜」という学び場に参加させていただくことに。
坂田さんのお名前は国連生物多様性市民ネットワーク代表でいらっしゃること、友人知人からもよくお名前があがっていたことから存じ上げていましたが、なんといっても、2年前にふと立ち寄った高尾山599ミュージアムで解説を書かれていたことから、いつか教えを請いたいと思っていた方。小さな植物たちの展示が本当にかわいくて、いとおしくて、きっと坂田さんの眼差しも入っているはずと、ずっと直接お話をお聞きしたいと思ってきました。
そんな半年プログラム「坂田の杜」の皮切りにあったのが、先週末1泊2日で行われた高尾合宿でした。
坂田さんの本拠地である裏高尾(高尾山は日本で一番生物多様性がある山。なんと1600種もの植物があり、これはイギリス一国に生息する植物の種類に匹敵するとのこと)でのガイドウォークです。
噂に聞いていた、全然歩かないガイドウォークは、本当に歩きませんでした(笑) 多様な植生を持つ高尾山。足元の植物を一つ一つ説明いただくと、一歩も進まずに平気で30分が経過します。
そして今回得たことでなにが一番だったかって、虫の目になる拡大ルーペで、世界の解像度が一気にあがったこと。館山に引っ越して感じていた、この世界は鳥や虫や植物や微生物…みんななのものだという感覚が、想像を超えてその通りだったことを、この目でのぞいて確認できてしまったという感動。
足元のコケや落ち葉を拾ってルーペをのぞけば、想像を超えたミクロの世界と、そこにうごめくいのちたちが見える。花の粒粒。きのこのぶつぶつ。肉眼では見えない毛のふさふさ。ああ、虫たちはこんな世界を生きているんだ。そしてこれは別世界のことではなく、実際に今、足元で共につながりあって生きている私達の仲間だというリアル。彼らがいのちを分解し、土にし、森を育て、木々が出した酸素を私たちが吸って生きている。
虫を引き寄せるかわいい花たち、共に進化する植物と菌。頭で知ってはいたことも、はじめて聞くことも、実際に見て、触って、感じたことで、森と響き合えた時間。
館山の庭、家庭菜園するぞ!と一部草刈りをしてみたものの、、これから半年を通じて、自分の庭との向き合い方も育んでいきたいと思っています。
なんでもルーペで見ます。これが楽しい!
ムーミンのにょろにょろみたいなキノコはツノフリタケ(のはず)。木を分解して土に還す木材腐朽菌です。
キノコは、菌糸のかたまり。通常は、木を分解する木材腐朽菌として木の中に広がったり、木に栄養を与え与えられる菌根菌として土の中で共生していたりします。
そして、こうして地上に顔を出すのは、子孫を残す胞子を飛ばすため。果実でいえば、実にあたるものと言えばいいのかな。たぶんゲンノショウコ。かわいい。 ツリフネソウ(釣船草)
マルハナバチのサイズにぴったり進化した、釣り船のようにゆらゆら揺れる花。花の奥には蜜がたっぷり。ゆらゆら揺れてマルハナバチを誘い待ちます。マルハナバチがツリフネソウに入ったところ。奥まで入ると、あまりのぴったりサイズに見えなくなるので、出てきたところをパシャリ。ささっと出ていくので、ピンボケてしまいましたが、サイズがどれだけぴったりかは伝わるかな? カツラの木が落葉をはじめています。 ハナタデ ヌスビトハギ
盗人の足跡みたいな形をした実。ひっつき虫で、動物に種を運んでもらいます。カツラの落ち葉は、落ちてから甘い香りを放ちます。なぜ落ちてから香るのか、生物学の謎だそうです。 金平糖みたなつぼみ、ミゾソバ。 ミゾソバに蜂がやってきました。 夏が過ぎ、風アザミ~♪ アズマヤマアザミと、だるまさんが転んだ状態の蜂w
アザミは指標植物として重要とのこと。乾燥しているところに生えるので、アザミの生息域が増えると、水の動きがどこかで滞っている、山が崩れる可能性にもつながってヤバイなということがわかる。サラシナショウマ
白い花が綺麗。排水のよい肥沃な土地を好む。名前の由来は、春の新芽をさらしてお浸しにして食せることから。チヂミサザ アブラチャンについて楽しそうに説明下さる坂田さん。
水の動きに敏感な木。沢や風に水分があるところで育つ。実から油をとって石鹸などにできる。栄養をどんどん取るため、ひこばえがいっぱい。と思ったら、もっとすごいひこばえのアブラチャン。別の木と絡み合って、沢に落ちないように生える。お互いの枝を避け合って、木々は絶対に話し合って協力しあっているという話しに。 割ってみると、ゼリー状のキノコ。オオゴムタケ。 たぶん、ヤノウエノアカゴケ。
コケは木の上や岩にくっついて空気中の水分から栄養をもらう。仮根はあるけれど、あくまでも木や岩にくっつくためだけのものなので、はがしても、元に戻せば大丈夫。地面に落ちた木の枝の表面にコケを広げているところ。木を分解するのは、木材腐朽菌であって、コケは分解しないで、むしろその存在で分解を遅くする。コケのある場所、ない場所で、分解の時間差ができることで、森に少しずつ栄養価の高い土壌が形成されていく。 サイカチというマメ科の木。豆の実は固く、自分では発芽しない。サイカチマメゾウムシという虫にしか割れない。虫と共に、共進化した木。 クサギ(臭木)の実。赤いガクに青い実で目立つのは、鳥に気づいてもらうため。実は青い染料にもなるそう。 ノブキ ノブキが種になると、こんな姿に。これひっつき虫となって、動物に運ばれていきます。 山栗の木。自然の栗の木は本来まっすぐ伸びて、樹高30メートルくらいになる。 逆光だけど、葉っぱを見ると、確かに栗の木。 地面で発見! 朽ちた枝があると、すぐに拾うw 菌と藻の共生体である地衣類と、木を分解する木材腐朽菌(&キノコ)、枯草を分解する糸状菌がいっぺんに見て取れます。 木材腐朽菌によって土になっていく木を、よってたかって確認w バアソブというレッドリストのお花発見!参加者の皆様、虫の目に本当になっていてすごいなぁ。下を向いて咲いているから、なかなかわからないのです。 大豆の原種、ヤブマメの花。ここから私たちは、品種改良をしていったのですね。 ノギクとイヌタデのお花畑。こんな自然のお花畑、素敵です。 あれはなんだ!? 坂田さんたちが作ったツリーハウス!(現在修復中) 坂田さんが仲間とDIYで立てている森のカフェのデッキで、最後ランチをしました。なんて気持ちのよい空間だったこと。