1. HOME
  2. ブログ
  3. 排水浄化循環装置~エコロンの仕組み~

排水浄化循環装置~エコロンの仕組み~


【エコロンの仕組み動画を作ってしまいました】
~私たちのトイレ物語とともに(長文)~

頼まれてもいないのに、エコロンの構造と仕組みを説明する、動画を作ってしまいました。

なにが私を突き動かしたのかと考えた時、エコロンの素晴らしさや、トイレを探して三千里…のような2年近い経緯があっての今、ということもありますが、それ以上に、エコロンを動かす動力(微生物の発酵熱や、重力、毛細管現象)がすでにこの地球上には無料で存在していたという自然界の当たり前のすごさというか、それに気づいて、それをこれまで使ってきた人類のすごさというか(下水処理も、浄化槽も!)、そしてそれをきっともっと活用できるはずという人類の伸びしろへの期待というか、さらにいえば、大地と生き物との循環の輪の中に自分が戻れて、我らの根源である微生物と、これまで以上に共存共栄しあえるという本質的なうれしさというか、それも水洗トイレという快適性を手放さずに、老若男女、誰もが簡単に循環の環に入れるという、少しだけ未来に近づいたような感覚というか…、そんないろんなごちゃまぜの想いでしょうか。

「土」は今から約五億年前、コケや地衣類が地上に誕生し、その死骸を残したことから、でき始めたといいます。以来、この地球上にある土は、これまで地上で生きた、すべての生きとし生けるものの、排泄物と死骸でできています。それが、次の糧を産み、命を産み、循環しています。

日本人は、江戸時代までは肥溜めを通じて、その循環に参加していました。大地からもらったものを、大地に還すことで、次の恵みを得る。こんなに理にかなった循環はありません。ですが、いつからか私たちは、その環から自らを切り離してしまいました。切り離しただけならいいのかもしれませんが、それがどこかで別の課題を生み出したり、処理に大きなコストがかかるようになったり。。

だけど、そんなこともまったく意識せずに都会に暮らしていた7年程前、はじめて「コンポストトイレ」という存在を知った時には衝撃でした。トイレを流した先のことなど考えたこともなかったのに、土や落ち葉の中に排泄すれば、それが肥料になっていくという仕組みに、頭がついていきませんでした。

いや、考えてみれば当たり前のこと。この地上のすべての動物の糞も、死骸も、土に還っている。それを知っていても、トイレと結びついていなかったのは、私がそれらを見えない下水の世界に流していたからでした。でも、微生物のことや、自然界の摂理を学び、そして、ナウシカの腐海の意味がやっと腑に落ちたとき、コンポストトイレへの興味が、がぜん湧きました。

それから5年後、下水道がなく、汲み取り式トイレしかない館山への移住が決まりました。本来、下水道がない地域(人口の20%)では、合併浄化槽という、ミニ下水処理場(嫌気発酵+好気発酵+塩素消毒をする、軽自動車サイズの浄化槽)を、各家庭の庭に埋め、処理水を川に流すことが推奨されています(ということすら都会にいては知る機会もなく、移住の不動産巡りで教えていただいたことでした)。ただ、維持コストが高いことなど、いくつかの課題も聞いていたので、それよりもよいアプローチはないかと、館山での暮らしを前に、真っ先にしたことは、東京のマンションで、コンポストトイレを試すことでした。ちょうどよい穴の開いたネコ用トイレをお風呂場に置き、もみ殻や、特殊微生物の菌を購入して入れ、人間用のトイレにしてしまうという実験です。勇気をもって、未来に踏み出すような気持ちで決行しました。結果は、無残なことになりましたが。。😂

しかしそれを皮切りに、様々なコンポストトイレを試し、見学し、ただ土にして木くずをかける縄文トイレから、おがくずや落ち葉を入れたバケツにするもの、市販の安価なもの、そして富士山の登山道にあるような高額なバイオトイレまでを調べまくり(完全自己完結型というのもありながら、屋根にソーラーパネルがついていて、蓄電池が付いていて…と、家が買えそうなくらい高い)、さらに古民家のトイレで苦労や工夫されている方などのブログも読みまくり、菌を買い続けるものや、冬も微生物を活性化させるために高い電気代がかかるヒーター付きのもの、ブロアーが必要なものもいろいろあって、それらのランニングコストを試算したり、買い替えコストを計算したり…。また、農地用トイレにも出会い、これだ!と一度は思ったり。だけど、これから歳を重ね、身体も動かなくなる中で、本当にそれらは持続可能に使い続けられるものなのかを考えたり‥、、水洗とウォシュレットを知ってしまった人間として、それを手放せるのかと向き合ってみたり。

一方で、館山に引っ越し、汲み取り式トイレを使い続けるうちに、出先で水洗トイレを流すと、水がもったいないと感じる気持ちが芽生えた自分にも驚いたり(水道水はエネルギーをたくさん使って作られ、また送られてくるので、節水に越したことはない。ちなみに我が家のように井戸水を使う場合は、大地の水の循環を促すため、適度に使い続けた方がいい場合もある)。だけどやっぱり、外出先のトイレでウォシュレットを見るとホッとする自分もいて、そして、流れる水でガシガシとトイレを掃除したいという衝動も押さえられず…、だから、水洗も使える一般的な合併浄化槽の業者さんにも下見にも来ていただいて、だけど、「排水を流せる小川が近くにないですね…」と言われ、心のどこかで合併浄化槽が使えないことにホッともし(合併浄化槽は合併浄化槽で100万円近くと高いし、館山市の補助金は少ないし、最後に塩素殺菌をして川に流すのも気になるし、年間の点検費やメンテ費用や電気代もそれなりにかかるし、好気性微生物のために空気を送り続けるブロアの音も気になるし…)、と、そんな葛藤の中で、何度も「もうトイレはこれに決めた!」と決断しては、なにかもやもやとしたものが頭に残り…。

そんなこんなの2年近い時を経て、ようやく見つけたのがこのエコロンでした。

「コンポストトイレ」や「バイオトイレ」、「エコトイレ」では検索にひっかかりませんでした。だけど、ある方の古民家暮らしかのYouTube動画の、奥の奥に、ささやきのようにそれは潜んでいました。人との会話の中で、マイクで拾われないような小さな声で「エコロンというトイレも試してみたいし…」という、つぶやきのような言葉が耳に入ったのです。「エコロン?」なんだそれは?? こんなに調べてきたのに、まだ知らないトイレがあるのか…!?と、その音声だけを頼りに、あらゆるワードで検索をし、エコロンのサイトを見つけたときには、まるで金塊を掘り当てたかのような気分でした。

ホームページを穴があくほど見て、電気もいらなければ、特殊な微生物基材を買い続ける必要もない、そして、(いつかは壊れる)「機械」もなさそう。とにかくシンプルで、昔の肥溜めといってもいいような仕組み。だけど匂いもない。それになんたって、水洗トイレが普通に使える! それも自然の力だけで、ノーメンテで使い続けられそう! さらに、導入実績は全国で300基以上! それに微生物の活動が冬、弱くなる極寒の北海道各地でも、すでに85基の実績がある。導入者の声も相当よさそう。値段はいくら?買える価格??と、せくように検索し、出てきた金額が200万円。

終った…。と、一度はホームページを閉じましたが、人は一度知ってしまうとダメな生き物で、もう忘れられない。それに、館山でも導入実績がある。これはご縁なのでは??、見学だけならお金もかからないはずと、エコロン代表の冨安さんにご連絡し、近場の導入家庭をご紹介いただき、見学させていただく。点検口をあけて匂いを嗅ぐ。匂いがしたら、やっぱりだめじゃんと、あきらめがつく。だけど、匂いがしない。本当にメンテナンスフリーなのかを確認すると、「なにもしていない」「下水道と同じ」「使っていることを意識しない」とおっしゃられる。その後、たまたま友人が福島で導入しているということも知り、聞けば、なんの問題もなく使っている、自然に還しているのが清々しいとのこと。その上、冨安さんはなんと翌月、館山で、新たなお宅にエコロンを設置されるという。となると、普段は福岡にいらっしゃる冨安さんと、直接お会いしてお話が聞け、エコロンの工事現場の見学もでき、さらに聞けば、その際、我が家の下見も可能だとおっしゃる。こんなタイミングはないのではないかと、導かれるように見学に行き、冨安さんとお話し、過去の失敗例をお聞きし(失敗例をお聞きするのが一番理解に役立つ。例えば北海道では寒さにビビって当初地中の深いところに作ってしまったけれど、それだとうまく行かずに、結局浅いところに作った方が微生物が活性化してうまくいった等…)、我が庭に足も運んでいただき、設置できるかも見ていただき、心配していた井戸との距離も、勾配も、土質も、地形も、問題ないことがわかり、2月末にもう一つ決まっていた館山の工事がキャンセルになりそうだという情報まで頂戴してしまい(それがなければ一年後の11月工事と言われる)、その頃には、頭が、合併浄化槽を入れた場合と比較して、何年で元が取れるかを計算しはじめるようになり…(こうなると、もう入れる理由を探している状態)、結果、20年から25年で元が取れるという数字が明らかになる。

そして原点に戻って考え始める。そもそも、ここにきたのは、豊かな未来の暮らしを、貪欲に探し、実験するためであり、元を取るという発想は少しそぐわない。少なくとも、自分も快適でかつ、何世代か先を考えた時のロングタイムコストや、長期の環境負荷に、可能な範囲で重きを置きたい。破産しない範囲で、未来につながるものであれば、果敢に取り入れ実験したい。たとえ、エコロンで今後なにがしかのトラブルがおこったとしても、これは試して、実験して、発信するに値するものなのではないか…。

そんな思考が頭の中をだーっと流れ、そして2月末に作るか否かのタイムリミットがあったことが功を奏して、えいっと採用を決めたのが、1月末頃だったと思います。

そしてむかえた今回の工事。2日間の工事と、冨安さんらとの二晩の会食で、より一層詳しくその仕組みを知り、自然のすごさに、人類の伸びしろに、そして冨安さんの軌跡(お父様が高速道路のサービスエリアなどの大規模な浄化槽を手掛けていたこと。大学時代に敵?を知るために浄化槽の研究室に入り、結果、「うちの浄化槽の方がイケているのではないか」と気づいてしまったこと。一人、一般家庭向けのオリジナル浄化槽を34年前に開発しはじめたという経緯、その後の北海道での挑戦など)にワクワクしてしまい、その結果、このエコロンは、これからの日本の限界集落や、トイレの課題がいつも浮き彫りになる避難所への敷設、また非衛生なトイレに苦しむ世界各地で活躍しうる可能性があるのではないかと、夢と希望が広がってしまい…

頼まれもしないのに、そして、まだ使ってもいないのに(エコロンとトイレがまだつながってもいない😆)、エコロンの仕組みを説明するスライド動画を作ってしまいました。

とはいえ、この暑苦しい想いは控え目に、機能や仕組みだけに着目してもらえるよう、冷静に、淡々と説明したつもりではありますが、少しワクワクが漏れ出てしまっているかもしれませんw

そして一つ大切なことは、冨安さんもおっしゃっていたけれど、実はこれ、使う人を選ぶ装置だということ。ギトギトの油を流し、高カロリーなお酒をドボドボ流し、プラスチックや有害物質を流せば、目詰まりするだろうし、自然に還せなくなる。カビを根こそぎ排除!なるものを使えは、それはすなわち微生物を根こそぎ排除!になるわけで、分解発酵がとまる。そのあたりのことを意識して暮らせる人でないと、目詰まりやトラブルに見舞われる可能性もあるとのこと。通常のコンポストトイレよりも容量が大きいため、神経質になりすぎずにOKとのことではありましたが、今、自分が井戸水を使い、使ったものが庭に直接浸透していく暮らしを一年半続けたことで、油は拭き取ってから洗うようになったし、どんな洗剤やシャンプーを使うかはとても気にするようになったし。。と、こんな心の準備ができたから、今はエコロンを、便利に快適に使える私になっている気がします。

これからは、エコロンの利用を通じて、自分がいのちの循環の輪の中に入ることでおこる意識変容を楽しみながら、使用状況などを発信していけたらと思います。

長文、お読みいただきありがとうございました。いつか書きたかったトイレのこと。溜めていた割には短くおさめられたw

そして下水処理や浄化槽に詳しい方、もし間違ったこと書いていたら教えてください。

動画はエコロジーコロンブスの冨安さんにも確認をいただきました😊💩🌈✨ありがとうございました!

関連記事

カテゴリー