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館山ライフ1周年 ~海近の暮らし編~

館山に引っ越して8月で1年。海は好きだけど、湿気、べたつき、塩害、、海の近くにだけは絶対に住めないなー。と思ってきたのに…、遠くに海がちらりと見える、海から700mの土地に住んで一年。

想像よりもさらに過酷な暮らしが待ってはいたけれど、ギブアップする気にならないのは、なぜ?

リノベーションをしたら、取り付ける予定のエアコン。だけど、リノベが少しずつ延びて、結果、エアコンなしで過ごす2回目の夏。今年も昨年に引き続き、革製品も、スーツも、ジャケットも、あらゆるものがカビる。黒いスーツが、グレーのスーツに変わる衝撃を、今年も体験してしまった(写真自粛。すべてクリーニングへGO)。こんなカビのワンダーランドが、この世に存在することを初めて知った、海近暮らし。

窓を開けているから、砂も入ってきて、いろんなものがザラザラするし、寝るときのタオルケットも湿気を吸ってヘビー。洗濯乾燥機で乾かした洗濯物も、カラッと感じられるのは、取り出した直後だけ。タオルを乾燥機から引っ張り出し、しばし乾燥した布に顔をうずめるのが密かな楽しみ。

庭に置いたBBQトングはあっという間に錆び、買ったドラム缶BBQセットは、10年ものですか?というこなれ感(まだ、木杭しか焼いてない。。)そして、ステンレスだって錆びることを知る。きっとこれは、これからじわじわ、車やら機械やらの不具合としても現れるに違いない。

それらをトータルすると、脳みそ的にはどう考えてもNGなのに、それなのに、思い立ったら大海原を見にいけるこの環境がたまらない。

歩いて10分、車で2分。朝のゴミ捨てに車で出た帰りに、「海、経由して帰ろう」と言えば、たとえ短い時間でも足を海につけてリフレッシュができる(写真は今朝の海。ほんの10分でも大満足)。それも、このへん、とにかく人が少ない。どの海岸も、ほぼ独占状態。砂浜は変化に富み、そして水がきれい。雲がなく、空気が澄めば、海の向こうに富士山は見えるし、海に沈む夕陽は、筆舌に尽くしがたい。家で空の様子を眺め、海の夕陽がきれいそうだと思えば、「よし、海行こう!」とつっかけで出られる距離。夜は、波音に包まれて眠りにつく。

そして、期待していなかったのに、想像を超えてよかったのが、家にいながら遠くに海が少しでも見えることの効果。

この家を契約する前、同じ館山市内で海が一望できる、別の高台の物件を購入しそうになっていた。だけど、どうしてもこの家と土地に魅かれて、ご縁をいただく。

この家からは、目の前に広がる葦原を経て、田んぼ経て、200m先のお向かいさんと電線の向こうに、少しだけ海が見える。それっぽっちなのに、こんなにも心に広がりをもたらすものになろうとは、思いもよらなかった。

気がつくと、いつも目線を遠くに飛ばしている。風が強い日には、海面に白波を確認したり、大きなタンカーが通れば、カメラをズームイン。「積み荷はなに?」なんて家人とやりとりをして、ときに海の向こうの大島や伊豆半島の天城山の風力発電にも、ズームイン。…と、書いてはみたものの、そんなことより、ただ海がそこにある、それが目で見て確かめられる、という、そのことがどれだけ心に安らぎをくれるものなのか、ここに来るまで知らなかった。「どんなにちょっとしか見えなくても、家から海が見える、見えないでは、大きく感覚が違うよね」、と何度も家人と話したこの一年。

移住するなら、山の方。標高が高くて、涼しいところがいいと思い続けてきたけれど、頭で考えた場所ではなく、土地に呼ばれ、心惹きあった場所に来てしまった。タイプじゃないのに、恋に落ちてしまった、そんな場所。

恋なら、失恋も、心変わりもあるかもしれない。あと何年、私はここにいるのかな~。そんなことを思えば思うほど、今という時間が愛しい。

来年の夏こそは、カビの生えないエアコン下で快適に暮らせるかもと、そんな希望とともに、今日も海風が、部屋を吹き抜けていく。

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